コロナの影響で急速に伸びているネットショッピング。
もともとアパレルなど物販系が多かったですが、飲食や食材関連も必要不可欠になってきました。
今回は、3カ月間で流通総額が35倍に急増したオンラインマルシェ「食べチョク」について、人気のヒミツを探ってみようと思います。
食べチョクとは
農家や漁師から直接お取り寄せできるECサイトです。
生産者が自ら商品を登録し消費者に販売するマーケットプレイスで、食材に特化したamazonのようなプラットフォームです。

出品者は現在2,200軒以上で、
流通総額は非公開ですが
コロナウイルスの影響もあり、2020年2月から5月までの3カ月間で流通総額が35倍に急増。
さらに、マーケティング強化、人材開発、物流レベル向上のため6億円の資金を調達したそうです・・!
運営会社
会社名 株式会社ビビッドガーデン
事業 ECサイト「食べチョク」の運営
代表 代表取締役社長 秋元 里奈(29歳)
従業員 15名
創業 2016年
ビジョン 生産者のこだわりが正当に評価される世界へ
特に興味を持ったのが、社長が29歳の若き女性ということ。
社長の秋元さんの実家が農家で、幼いころに廃業になったそうです。
こだわって作ったモノが正当に評価されて、正しく儲かる仕組みが必要、
こだわっている人と、それを買いたい人を繋げる場を作りたいと思ったのが起業したきっかけのようです。
食べチョクのサービス、機能
通常のネット販売以外にどのようなサービスがあるのかまとめてみます。
- 食べチョクコンシェルジュ
(朝どれ直送の定期便。農家のセレクトはお任せ。毎週、隔週、月1から選べる) - 友達と分けあえる「共同購入」
(分けやすい分量に調整して配送) - 食べチョク&more(ブログ記事)
(食に関する記事を作成しコンテンツマーケティングを実施) - 出張マルシェ
(オフィスで販売) - コロナ復興支援
(対象商品は送料無料 国が実施する「元気いただきますプロジェクト」に参加) - シェフのレシピをつけて販売
(1レシピ300円で販売。飲食店の支援にも繋げる) - 販売前に商品を取り置きできる「予約」機能
- 「みんなの投稿」にて購入者が感想などを発信、生産者とのやりとりも可能
ニーズを汲み取り、様々なサービスを展開しているところも人気のヒミツかもしれません。
外部環境分析

- 農業就労人口は168.1万人
- 平均年齢は67歳
- 農産物の57%が農協を経由して流通
- 食品のEC普及率はわずか2.6%
➡︎最近ではECの普及率は上がってきていますが、農業は高齢者が多いためEC化が全く進んでいなかったのが現状
➡︎農協を経由すると、農家の手元に残る利益は市場価格の約3割と、利益率が低いビジネスモデルが定着
顧客のニーズに基づく価値提供
顧客としては、主に2者考えられます。
- 農家などの生産者
- エンドユーザー
それぞれの顧客に対してどんな価値を提供しているのか考えます。
農家などの生産者
- 利益が市場価格の3割と利益率低いビジネスモデルを、利益がでる仕組みに
➡︎ECサイトを通し、直接消費者に販売することで、中抜きをなくし売上の8割を生産者に還元 - 消費者の声を直接届け、商品の改良に繋げる
➡︎サイト上で、消費者からのレビューや質問事項などのやりとりが可能 - 生産者の情報を積極的に発信することで、消費者の興味や共感を呼び生産者にファンをつける
➡︎ブログ機能をもうけ生産者自ら発信 - SNS、メールマガジン、ブログなどで生産者や商品の情報を発信、販促支援
➡︎食べチョク公式SNS フォロワー数
Twitter:1.5万人
Instagram:4.5万人
Facebook:7,800人
エンドユーザー
- 鮮度の高い野菜を購入できる
➡︎生産者から直接購入することで、最短で収穫後24時間以内の購入が可能に - どんな人がどのように作った野菜なのかわかった上で購入できる
➡︎スーパーで購入する場合はわからない、生産者の情報や拘りがサイト上で確認できる
成功のpoint
私が考える食べチョクの成功のポイントをまとめます。
- サービスの改善や展開内容の拡大などスピードが早い
- SNSやメディアで情報を積極的に発信
若き女性社長であるということを上手く活用し、社長自身が積極的に前に出て発信し注目を集めている。
そしてその発言から、本気度が伝わり、共感を呼んでいる。 - 生産者支援が手厚い
SNSで商品や生産者を取り上げるなどの情報発信や、
高齢者が多い中での利用サポートをしっかりしていることで、出品する生産者が増加 - サイト上で、コミュニケーションが活発になるような仕組み作り
食べチョクの運営側だけでなく、生産者や消費者自ら情報を発信してもらい、相乗効果を生んでいる。 - 時代のニーズに合致したビジネスモデル
・コロナの影響でネット購入の需要の高まり
・商品の背景やストーリーを重視する傾向
・D2Cモデルの注目
もし自分がCMOだったら
もし自分が産チョクのCMOだと仮定してアイディアを考えてみました。
- 料理に拘る旅館やホテルなどに営業をかけ、顧客の囲い込み、定期的な受注を増やす
- ブランディングを強化し、海外へ販売する
- 農業体験や、副業なども含め、人手不足に悩む生産者と農業に興味がある人をつなぐ
- 売り上げが伸び悩む生産者のコンサルを行う
さいごに
今後もこのように、生産者やメーカーが流通業者を通さず、自社の商品を自社ECサイトで直接消費者に販売するD2Cモデルがさらに増えることが予想されます。
また、どんな人がどのような想いで、どのように作っているのか・・
食材やモノが作られる背景やストーリーを重視する傾向もあると思います。
品質が上がり、モノやサービスに差がなくなった今、「何を買うか」よりも「どんな人、どんなブランドから買うか」がより重要になってきている気がします。
https://www.tabechoku.com/
https://www.businessinsider.jp/post-216183
https://ecnomikata.com/ecnews/27218/